スポーツ複合施設【Tissot Arena Biel 】
2015 年にオープンしたスイスのビールにある「Tissot Arena(ティソ・アリーナ)」と呼ばれるスポーツ複合施設には、アイスホッケーアリーナ、サッカースタジアム、カーリングホールと、4つの屋外スポーツグラウンドがあります。この会場を長年にわたって支えてきたのが、同じビールに本社を置くエクリプス社です。7,000人収容のアイスホッケーホールには、スイスのアイスホッケー最高峰リーグであるナショナルリーグに参戦するEHC Bielが本拠地を置いています。
近年、アイスホッケーアリーナでの音響システムに対する要求が大幅に高まってあり、既存のシステムのアップグレードを検討する必要がありました。現場での徹底的なテストの結果、Alcons AudioのQR24カラムアレイとLR18Bサブウーファーを組み合わせたシステムを採用しました。
高まるメインPAシステムの需要
2015年にアイスホールがオープンしたとき、既存の音響システムは避難システムと客席エリアのメインPAの両方として設計されていました。「しかし、それ以来、クラブのニーズは大きく変化しました」とEclipse AGのテクニカルマネージャー、Silvano Käppeliは述べています。
Eclipse AG テクニカル マネージャーで Silvano Käppeli 氏：
「今日、チームの試合を中心に、より多くのショー要素が求められています。さらに、ゴールや勝利を祝うために、強烈な光のショーとパワフルなサウンドが求められるようになったのです。」
Käppeli氏が次のように話しているように、プロスポーツの世界では、スポンサーも重要な役割を担っています。
Käppeli 氏：「スポンサーのプレゼンテーションでは、シネマクオリティのサウンドが期待されるようになりました。要するに、既存システムは避難システムとしては素晴らしい仕事をしているということです。しかし、需要の増加に追いつくことができませんでした。すべての聴衆エリアに同じように優れたサウンド体験を提供できるわけではないため、来場者から「音が大きすぎる」「攻撃的だ」という苦情がよく寄せられました。しかも、アリーナでは観客自身がかなりの音量を発生させています。どんな音響システムでも、まずこの騒音の壁を乗り越えなければなりません。そのため、サウンドに関してうまくコントロールするのは紙一重です。」
Eclipse AGは当初、2018 年に最初にアイススタジアムにライティングショー設備を追加し、さらに新しい照明と映像のコントロールルームを設置した後、2019年にアリーナの音を改善するために何ができるかを判断するためのデモンストレーションが行われました。
Käppeli 氏：「彼らはホールの音響自体に手を加えたがらなかったので、既存の音響システムを維持しながら技術的な解決策を考え出すことを望んでいました。」
スタンドの後方4列をカバーする16台のQR24/110
Eclipse AGの分析によると、メインシステムはスタンドの最後列4列だけでは不十分であることがわかりました。現場でのリスニングテストの後、QR24ラインソースカラムスピーカーが選択されました。
QR24システムは主に固定設備に推奨される垂直アレイシステムです。
このシステムは音響的にすごく困難な環境でも、完全に自然でダイナミックなサウンド再生と優れた明瞭度および分散特性を兼ね備えています。QR24は4個の6.5インチウーファーと同軸に取り付けられた2つのRBN1203プロリボンドライバーによって、シームレスなカバレージを備えたコヒーレントな(特許取得済み)水平方向の指向性コントロールを提供します。
また、鋭く制御された垂直方向の指向性と組み合わせて、音圧に依存しない優れたサウンドを実現します。DSPベースのビーム補正を必要とせずに、距離を超えた明瞭度を実現することが可能です。
Käppeli 氏
「追加するシステムは、後ろのガラス壁に反射して既に完璧とは言えない残響状況を悪化させることなく、後方4列を正確にカバーする必要がありました。QR24/110は110°の水平指向性と非常に狭い垂直指向パターンを持っています。16 台あればアリーナの後列全体をカバーするのに十分でした。」
最近Eclipse AGはスタンド席にQR24を追加設置し、8x台のLR18Bサブウーファーをセンタークラスターに追加しました。
QR24は4台のSentinel3でコントロール／駆動し、 LR18Bは1台のSentinel10でコントロール／駆動しています。
8台のLR18Bを設置したセンタークラスター
LR18BはLR18ラインアレイ用のウーファーシステムですが、固定設備と仮設イベントの両方で、他のプロリボンシステムと組み合わせることもできます。LR18Bは次世代のロングストロークウーファーのおかげで、歪みを最小限に抑えながら最高のパフォーマンスを発揮し、非常に正確な低音の再生を実現します。
既存のフルレンジシステムでも低音は出ますが、高域のダイナミクスについていけないほど安定性に欠けることが判明しました。避難システムとしては許容範囲内の事情かもしれません。しかし、ショーのような感動的な場面では、タイトで正確な低音再生が不可欠です。また、CMやスポンサーの中継では、強烈な低音を再生することがよくあります。
Käppeli 氏：「我々の分析によると、観客席全体をカバーするには、中央に1つのバス・クラスターがあれば十分であることがわかりました。そこで、スピーカーを天井の中央から吊り下げ、既存のシステムをトーカットし、LR18Bだけが重低音を提供するようにしました。それ以来、当社のエンジニアは低域の精度を大幅に向上させることができるようになりました。」
Eclipse AGは長年のAlcons Audioユーザーです。
Käppeli 氏：「Alcons Audioはこの特殊な用途のためにまさに必要なソリューションを提供しました。それは完全な音声明瞭度を備えた、非常に狭い垂直サウンドシステムです。市場にはこれらの特性を備えたラウドスピーカーは、実は多くありません。Alcons Audioのソリューションは、音響的に困難なことが多いスポーツアリーナや多目的ホールで本当に優れた威力を発揮します。」