[TIME CORE] ユーロビジョン・ソング・コンテスト
ユーロビジョン・ソング・コンテスト 2021年 開催国オランダ
欧州放送連合に加盟する放送局によって開催される、1957年より60年以上続く毎年恒例の音楽コンテストです。2021年にはオランダで開催され、約550箇所のリギングポイント、215トンの音響及び映像機器、そして1,800台の照明フィクスチャーと長大なフレキシブルLED設備などとても大きなプロジェクトとなりました。
ロッテルダムに位置する屋内競技場AHOYで開催されたユーロビジョン・ソング・コンテスト2021は無事に閉幕しました。照明デザイナーのHenk Jan van Beekと彼の9名の照明専門家チームのおかげで、ショーは大いに盛り上がりました。彼らは一緒に照明デザイン、プログラミング、ショー中の運営を担当しました。オランダ公共放送(NPO/NOS/AVROTROS)ネットワークと欧州放送連合EBUを代表して、制作責任者Erwin Rintjemaが管理するこのESCエディションでチームの何人かとコンタクトを取り、タイムコードの使用法を詳しく掘り下げてみましょう。
インタビュー
熟練した照明オペレーターと代表的なイベントやツアーのデザイナーのミッキー・ドルドレガー氏とアンドレ・ビークマンズ氏にお話をお伺いします。
Q.「この大規模な作品に取り組むのはどのような感じでしたか?」
アンドレ氏「とても光栄です。これほど大規模なショーに取り組むことができて本当に良かったです」
ミッキー氏「特に久しぶりのライブのお客さんは大興奮でした」
ここではVisual ProductionsのTimeCoreに焦点を当ててシステムデザインを掘り下げます。6台のTimeCoreがFull AVL Distribution(機材卸業)によってAmpco Flashlight(請負業者)に供給され、すべての照明、サウンド、リギングをESCに供給しました。
Q.「TimeCoreがどのように活用されたかについて詳しく教えていただけますか?」
ミッキー氏「Ziggo Domeでのリハーサル中、私たちは5つの異なる照明コンソールを使用しました。各オペレーターは1つのTimeCoreを持ち、オーディオトラックはオーディオおよびビデオ用のソフトウェアプレーヤーである”REAPER”から再生されました。タイムコードイベントもここに記録されます。”REAPER”からのMIDIタイムコードはRTPとして出力され、TimeCoreに供給され、これがLTC(SMPTEタイムコード)に変換されました。このLTC信号はGrandMA3コンソールに供給され、各ショーをタイムコードに同期する完璧な方法となりました。」
ミッキー氏「各トラックには30分のオフセットを持つ独自の時間が設定されていました。A国は1:00、B国は1:30などです。このようにして、すべてのトラックに固有のタイムコードが割り当てられ、さらに、タイムコードの変更は必要ありませんでした。ショー中のマスタータイムコードは、オーディオトラックからのSMPTE信号でした。このSMPTEマスター信号は、Riedel Mediornetネットワークを通じてOBトラック、モーション、ビデオ、照明、特殊FXなどに配信されました。その後、SMPTEタイムコードがTimeCoreに供給され、変換され、LTC としてGrandMA3 コンソールにルーティングされました。これにより、正しいフレームレートで常に正確なタイムコードが得られます。」
アンドレ氏「AHOY競技場でのライブショー中、私たちは 3台個別のGrandMA3’セッション’と連携して、照明、ステージ、メディアサーバー、LED ラインなどのセット全体を一緒に制御しました。各「セッション」には、メイン、バックアップ1、バックアップ2の3つのGrandMA3 Liteコンソールが含まれていました。MainとBackup1はどちらも、受信SMPTEタイムコードとコンソールの間にTimeCoreを配置していました。」
ミッキー氏「私たちはTimeCoreのフリーホイール機能を選択しました。これは、ソースが失敗した場合でもタイムコード出力を自動的に継続する設定です。SMPTE配信に問題が発生した場合でもタイムコードは続行されます。これはショーの中断を防ぐための追加の方法です。」
アンドレ氏「ESCのような番組では、タイムコードが最も重要です。ショー全体がそれにかかっています。すべてのカメラショットは事前にプログラムされているため、キューは高速で発射され、タイミングが重要です。小規模な曲のセットアップには、オーディオとビデオの設定とカメラショットがまったく同じである約50個のキューが含まれています。大規模な曲のセットアップには300から500のキューが必要です。マスタータイムコードがなければ不可能です」
Ampco Flashlight社の照明システム技術者ロイ・アーニンクホフ氏は次のように付け加えました。「TimeCoreは信頼性が高く、非常に優れたパフォーマンスを発揮します。シンプルなユーザーインターフェイスと豊富な機能を備えた、価値のあるツールです。Ampco Flashlightでは、他のビジュアルプロダクション機器と同様に、自由に使用できます。」
プロジェクト
プロジェクト: ユーロビジョンソングコンテスト
請負業者: Ampco Flashlight
照明デザイナー: Henk Jan van Bee
使用機材(一部)：Time Core 6台
場所: AHOYロッテルダム オランダ
開催時期: 2021